アラフォー男子の婚活パーティー激闘編①
どうも。月曜日のmakです。
「はじめての婚活パーティー」いかがでしたでしょうか。
今回から始まりますのは「婚活パーティー激闘編」
前回のパーティーを皮切りに、婚活という戦場に足を踏み入れたmak。
今回は、同じ会社の3人で婚活パーティーに挑みます。
次こそ(月9ドラマのような)ハッピーエンドは待っているんでしょうか。
3人の運命は?
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それは春にはまだ少し早い、小雨降る日の朝。
「ついに来たか…」
そうつぶやくmakの前にそびえ立つ巨大な塔。
それはツリーと呼ぶにはあまりにも大きく、高く、そして無機質すぎた。
ここは東京スカイツリー。
日本で最も高い建造物のもと、熱き戦いの火蓋が、今切って降ろされる。
<mak>
アラフォー独身男子。
短髪のヒゲ男。
好きな食べ物は、サダハルアオキのマカロンショコラ。
「しかしはじめて来たスカイツリーが婚活パーティーとは」
「とても地元の親には言えないっす(笑)」
そう言って笑ったのは、マルハシだ。
<マルハシ>
アラサー独身男子。
スポーツ万能、特にフットサルが上手い。
イメージは、左足の強烈なキックを持ち味とする攻撃的サイドバック、セレッソ大阪の丸橋で。
「……でも、本当に大丈夫でしょうか?」
心配そうにしているのは、ムラモトだ。
<ムラモト>
アラサー独身男子。
チームのブッコミ隊長で、スノボーが上手い。
イメージは、お笑い界のブッコミ芸人、ウーマンラッシュアワーのムラモトを採用。
実はこの日、ムラモトは受付に必要な身分証明書を忘れてしまい、どうにかできないか探っていたのだ。
「まぁ、なんとかなるさ」
そう言いながら、3人は婚活パーティー会場の扉を開けた。
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パーティー当日の2週間前。
話のきっかけは、makの婚活パーティーだった。
「makさんズルいっすよ!」
「1人だけ抜け駆けして。」
この会社の朝には、よくある風景だ。
「次は3人で行きましょうよ!」
「行くなら大手に決まりっしょ」
「あ、コレとかどうすか」
うちの会社はほぼ男子、働き盛りのアラサー男子の集まりだ。
そして特にうちのチームは、今偶然、みんな彼女がいない。
「こうしましょう!」
まとめるのは、いつもマルハシだ。
「ムラモトが話しかけて、俺が盛り上げ、makさんが引き留める」
「完璧な連携プレーっしょ!」
さすがマルハシ、それぞれの得意分野を理解したフォーメーション作りが上手い。
いつの間にかもう3人で行くことになっているが、まぁとにかく、対婚活用即席チームの完成だ。
こんな感じで話はトントン拍子に進んだ。
……ある一点を除いて。
「makさん残念なお知らせが」
ムラモトが言う。
「相手の女性20歳代のプランは、男性の年齢制限がありまして。」
「どれも35歳が上限みたいっす。」
…突きつけられる厳しい現実。
アラフォー男子には、参加資格すらないというのか!!!
「嘘でしょ!」
と荒ぶるmak。
結成わずか5分。早くもチーム解散か。
「マジで!お金を出したとしても!」
「アラフォーはもうそんなに市場で需要ないの!?」
「ちょっと待って!探すから!みんなで行けるやつ探すから!」
…15分後。
そんなこんなでようやく見つけたパーティーが、今回参加するパーティーだ。
・主催:某大手 婚活運営会社 エ◯シオ
・開催場所:東京スカイツリー
・参加年齢:男性30代、女性20代(〜男性年上編〜)
・参加費:男性:7500円、女性:3000円
・開始時間:朝10時30分
…日程は決まった。
あとは、その日までに組み上げて行くだけだ。
「そしたら、行く前にルールだけ決めておきましょうか」
・全員ガチで行くこと。
・もし3人中1人がカップルになった場合は、残り2人でおとなしく反省会。
・もし3人中2人がカップルになって1人がポツンとなった場合は、残り1人をフォローすること。
・もし3人ともダメだった場合は、飲んで帰りましょっか。
マルハシの案に、2人は静かにうなずいた。
(絶対カップルになってやる!!!)
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その日からしばらく、3人の研究に余念はなかった。
・他の人の体験記の読み込み
「こんなブログ見つけたので共有するっす」
・服装
「ちょっと裏切り行為なしのために、どんな格好で行くか一回パーティー用の服で出勤してみましょうか」
・髪型
「あれ?ちょっとマルハシさん!散髪行ってるじゃないですか!」
そして、思ったより早くその日は来た。
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パーティー当日。
時計を見ると、時刻は7時30分だった。
窓から見える空は曇り。
雨かと思ったが、なんとか持ちこたえたようだ。
朝飯を食べようかと思ったが、どうせすぐパーティーだと思い、そのまま向かった。
スカイツリーで合流し、エレベーターで会場を目指す。
不思議な感覚だ。
すれ違う女性、すれ違う女性が、みんな参加者に見える。
「まぁ、なんとかなるさ」
それはもしかすると、ムラモトではなく自分に言った言葉かもしれない。
3人は会場の扉を開けた。
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「すみません、身分証忘れちゃって」
「クレジットカードと名刺しかないんですが」
『では、名前が書いてあるカード、とにかく全部見せてください』
身分証明書を忘れたムラモトが受付のお姉さんと交渉している声を背にし。
受付を済ませたmakとマルハシは、中へと進んだ。
…そこは、不思議な空間だった。
想像していたパーティー会場ではない。
目の前は大きなホールではなく、いくつもの扉だった。
どうやら壁で仕切られた小部屋が並んでいるようだ。
部屋の数は、6つだろうか。
数えている間に、4番の部屋に案内された。
自分の番号は5番なのに、部屋は4番。わけがわからない。
マルハシは1番の部屋に案内されていたが、何番だったのだろうか。
受付の女性から、まずはプロフィールカードを書けと案内された。
小部屋の外を見ると、受付横のソファーでムラモトがプロフィールカードを書いている。
部屋の数が足りなかったのだろうか。
まぁとりあえず書くか、と持ってきたペンを走らせていたら、受付が急に賑やかになった。
…女性陣の登場だ。
受付終わった女性陣が、次々に部屋に入っているらしい。
隣からは、楽しく会話する声が聞こえ始めた。
人の会話に耳をそばだてようとした時、スピーカーから声が流れた。
「それでは、今日の流れをご説明します」
「備え付けの画面にビデオが流れますので、御覧ください」
<ビデオ>
・本パーティーは「一対一着席型のパーティー」です。
・5分間の会話後、男性がひとつずつ番号の大きい部屋に移動してください。
・全員と会話後、お手元のマッチングカードに気になる人の番号を記入ください。
なるほど。
まずはお決まりの回転寿司方式の自己紹介ということか。
このmak、その方式は…すでに知っている!!!
makの口元があやしくゆがんだ瞬間、スピーカーから声が流れた。
「それでは、スタートです」
…ってちょと待てちょと待てお姉さん。
makの相手は誰ですのん?
お話、しろと言われましても誰もいないからできません???
スピーカーは続ける。
「なお」
「本日は女性に対して男性の参加者が多いため」
「目の前に女性がいない場合は、休憩時間としてください」
「それではどうぞ」
堰を切ったように、両側から聞こえる楽しげな声。
誰もいない空間。
makは窓に近づき、スカイツリーからの景色を眺めた。
窓の外では、雨が降りだした。
(②へ続く)