ひげまこのひげログ。

アラフォー独身男子のひげまこが、アラフォーの恋愛事情や日々のできごとを妄想まじえて描いております。

はじめての婚活パーティー⑥

人物紹介

・女子B:通称(リナさん)

 都内で受付嬢をしているアラサー女子。イメージはドラマ「ファーストクラス」に出てくる受付嬢「大久保円香(知念里奈)」を採用。

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どうも、makです。

今回で最終話、ようやく今回の話で「はじめての婚活パーティー」の結末がわかるのですが、ゲームと違ってやり直しの効かない人生、makが最後に選んだルートの結末は…

 

(ごくり)

いつの間にかバックミュージックはなくなり、静寂の中聞こえるのは、自分の唾を飲み込む音だけだった。

司会者「それではカップル成立なるかッ!みなさまお手元のカードを開封ください!」

 

最終ジャッジが下されるその10分前。

makは静かに一人の女性の名を書いた。

 

最終アピールタイム

最初に浮かんだのは、「確かめたい」という感情だった。

迷いがあると言えば、ウソになる。

だが、この最終アピールタイムですべてを決めなければならない。

makはひとつ深呼吸をし、宙を見つめた。

かすかな予感はある。

あとは、その予感を確かめるだけだ。

アピールは一人、また一人と終わり、自分の番が近づいてきた。

司会者「次、5番(mak)さんです」

 

やけに空気がひりつくのは、気のせいだっただろうか。

makは静かに立ち上がり、一人の女性を見た。

 

麗子お嬢様だ。

 

makの恋愛経験は少ない。

しかし、これまでの経験上、ひとつだけ確信を持っているものがある。

目を見ればわかる

 

目を見れば、自分への感情がわかるはずだ。

何をしゃべるかは、どうでもいい。

立ち上がって、ただ相手の目を見るだけ。

 

makが視線を向けたのは、時間にして1秒にも見たなかった。

…が、彼の目が麗子お嬢様の目を捉えることはなかった。

 

(サッ)

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…やはり今日の空気はひりついている。

とりつくろうように他の人にも視線を送ったが、乾燥した空気のせいか、あまり目を開けていられなかった。

この後、自分が何を話したかは覚えていない。

 

最後の選択

婚活パーティーに行った人ならわかると思うが、最後に自分がカップルになりたい人を書くこの「投票用紙」ってやつは面白くって、複数人の名前(番号)が書けるようになっている。

いわゆる「第◯希望」ってやつだ。

 

この日は第三希望まで書けるようになっていた。

しかし聞いてくれ。

第三希望まで書けるって、どういうことだ。

ここでも人生の妥協を強いられるのか?

第三希望の人とカップルになって「いやー良かったです」なんて言って笑う?

そんな人生まっぴらゴメンだ。

書くのは一人だ。

makは一人の女性の名を書いて、用紙をたたんだ。

 

最終ジャッジ

何にでも嫌な時間というものはある。

今日で言うと、一番イヤだったのが、この運営側が投票用紙を元にカップリングしている間の待ち時間ってやつだ。

何がイヤって司会者が、

「今この待ち時間に、みんなLINEやメルアド交換するチャンスですよ!」

と言って仕切りにはやしたてるのだ。

正直、もうそれぞれが「選択した段階」で、選ばれるかどうかもわからないやつと連絡先を交換するだろうか。

そんなやつはいない。

もしいたとしても、そんな肉食系の人間は、婚活パーティーには来ないのだろう。

結局ひとりも席から動かず、気まずい空気の中、ようやく運営が司会者に紙を渡した。

 

司会者「みなさま、お待たせいたしました」

「今回、15組の中で見事カップルになったのは…なんと 8組 です!!!」

「それでは順番にカップリングカードを配りますので、中を見て見事カップルになった方はこの場に残って」

「選ばれなかった方は、先にお帰りください」

 

なんと残酷なシステムだろうか。

誰かが「背中の傷は剣士の恥」と言っていたが、敗者はそのうなだれた背中を勝者に見られながら帰ることになるのか。

…そんなことは露ほども思っていないだろう運営者からカードが手渡され。

 

(ごくり)

いつの間にかバックミュージックはなくなり、静寂の中聞こえるのは、自分の唾を飲み込む音だけだった。

司会者「それではカップル成立なるかッ!みなさまお手元のカードを開封ください!」

 

 

…makは静かにカードを開け、そして一人トイレに向かった。

隣のジャニーがグッと拳を握る姿が視界の端に入っていた。

勝者と敗者が交差する瞬間を見るのは、あまり好きじゃない。

しばらくトイレに座っていると、外に通じる扉の音が聞こえてきた。

おそらく選ばれなかった人が、先に帰っているのだろう。

 

落ち着いた頃に席に戻ると、残ったメンバーはカップルで座っていた。

そこには、ジャニーと共に座る麗子お嬢様の姿もあった。

makは、一人待つ女性の隣に座った。

リナさんの隣だ。

 

そう、実はこぼしたドリンクを片付けた後に少し時間があり、デザートを食べながら話をしていたのだ。

リナさんは受付嬢で、日頃からオペレーションを大事にしている分、今回の段取りはかなり気になっていたらしい。

そこで意気合同した二人には時間が足りず、「もうちょっと話したいですね」とか言っていた。

もう少し話をしたい女性と、話を打ち切られた女性。

おそらく麗子お嬢様は、ジャニーへ一本道だろう。

ただ、リナさんの名前を書く前に、それだけ確かめたかったのだ。

(とはいえ目も合わせてくれないという予想以上のダメージを食らったのだが)

 

LINEを交換し、おみやげをもらってコートを羽織る。

長き戦いが終わった。

 

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エピローグ

会場を出た後、カップルになったメンバーはその場で晴れて連絡先を交換し、皆で飲みに行くという。

リナさんを誘ったが、「この後用事がある」ということだったので、カップルの中ひとりで参加するのも気まずく、一人そのまま帰路についた。

(ジャニーと麗子お嬢様も行くって言ってるし)

 

その夜、リナさんのLINEに「来週あたり飲みに行きましょう」と連絡したが返事なく、数日後、友達リストからも姿を消していた。

おそらく、機種変更でもした際に、間違ってIDが消えてしまったのだろう。

ケータイショップに来るクレームでは、よくある話だ。

 

そろそろ季節は春。

初デートは花見もいいなと思うmakであった。

 

END

 

 

次回予告!

婚活パーティー第二弾!!!

今度は団体戦だ!!!

東京最高峰!スカイツリーで開催される婚活パーティーに挑む3人の男たち!

「春が近いと思うこの時期ですが、まだまだ気温の乱高下にご注意ください」