ひげまこのひげログ。

アラフォー独身男子のひげまこが、アラフォーの恋愛事情や日々のできごとを妄想まじえて描いております。

はじめての婚活パーティー⑤

(④までのあらすじ)

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どうも、makです。

「はじめての婚活パーティー」も、次の⑥で最終回です。

今回行ってわかったのは、婚活パーティーという場は「実際の戦場さながら、本当に精神を削られる場所だ」ということでした。

これまで出会いが少なかった人間にとってみれば、この2〜3時間の間に、人生で経験した出会いと別れがギュッと濃縮されたような感覚。

そしてその出来事に一喜一憂する心の乱高下

もう終わったその日は家に着いてソファーに座った瞬間、ぱたっと寝てしまったのを覚えています。

そこまでに精神を消耗させたのは、すべてここからの出来事でした。

いったい後半戦に何が起こったのか。

そしてmakは?

すべては、ここから明らかに。

それでは「はじめての婚活パーティー」最終章、スタートです。

 

最後のフリートーク

「makさんお話しましょ!」

そういって振り返った先にいたのは、麗子お嬢様だった。

makは自分の顔が紅潮するのを悟られないよう、努めて簡単に「ぜひ」とだけ答えた。

思えば立て続けに起こるイベントで、誰かとゆっくり話ができたのは、これがはじめてだったと思う。

 

makはとにかく喋った。

自分の住んでいるところ、今の仕事、休日の過ごし方。

途中でイケガミが「俺とも話そうぜ」と割り込んで来たが、

『すまないが後にしてくれないか』

そう言って一蹴した瞬間が、一番気持ち良かった。

 

おそらくフリータイムのほとんどを、麗子お嬢様との話に費やしたと思う。

流れが変わったのは、同じ区内に住んでいることがわかり、『一緒に飲みに行こう』と意気投合した後だった。

 

麗子お嬢様が、ふと聞いてきた。

「ところでmakは、いつ◯◯県に帰るの?」

makは最初、意味がわからず、

『盆と正月くらいかなー』なんて言っていた。

「違う違う、仕事では◯◯県には帰らないの?」

誰かが向こうで扉を閉める音が聞こえた。

「私、近いうち◯◯県に帰るんだー。

 だからできれば向こうで一緒に過ごせる人がいいの。」

 

運命の神様ってやつは、いつだって誰かに味方する。

その日はたまたま俺じゃなかっただけで、たぶん彼の味方だったんだろう。

 

「あ、ここにいたんですか。僕も混ぜてくださいよ」

笑顔で入ってきたのは、やはりジャニーだった。

それまで静かだと思っていた空間が、急に賑やかに感じられた。

二人の時間が終わった瞬間だ。

 

「ちょっと聞こえたんですが、麗子お嬢様って近いうち◯◯県に帰るんですか?」

ジャニーが一歩進んだ。

「偶然だなぁ。僕、◯◯銀行で仕事しているんですが、ちょうど4月に転勤で、◯◯県に帰るんですよ」

まだ麗子お嬢様の視界に、makはいただろうか。

「そのことで先月彼女と揉めてフラレてしまって。」

「転勤前に、◯◯県主催のパーティーなら…と思って来てみたんです。」

 

急に横から押された感じがしたのは、気のせいだったのかもしれない。

でもなぜだか距離を感じて、makは一歩踏みだそうとした…が、すでに遅かった。

「じゃあねmak、またお盆に飲めたらいいね」

それがmakの聞いた、最後の言葉だった。

フリータイム終了の鐘がなった。

 

ロスタイム

こういう時に限って、司会はいつもテンションが高い。

が、今日は様子が違ったようだ。

「さぁ、それでは最後に!皆さんから一分間アピールをしていただいた後、いよいよマッチング…の予定だったんですが」

「すみません、デザート配るの忘れてました」

…どこまで段取り悪いんだ。

早く終わってほしい時に限って終わらないのは世の常か。

 

デザートはケーキだったが、案の定、配るのに時間がかかってたので、

「やりますよ」と言ってみんなに回していった。

が、この日は何もかもダメだったんだろう。

配っている最中に、誤って誰かのグラスを倒してしまった。

 

 ガシャン

 

(ほら、なんかいい人ぶってるから)

(いるよね、そういう人)

 

…神はいったいどこまで俺を追い詰めるのか。

いたたまれない視線の中、あわてて床を拭こうとしゃがんだその時。

 

???「段取り悪いと手伝いたくなりますよねー」

声と共に、伸びてくる白い手。

「私もイベントやるんでわかります。今日は見ててずっとイライラしてて」

「一緒に拭くんで、パパッと配っちゃいましょう」

 

まぶしく見えたのは、ライトのせいだったのだろうか。

…見上げるとそこにいたのは、女子Bだった。

 

(最終話⑥に続く:次回は3/16頃に更新予定です)